離縁するはずが、冷徹御曹司は娶り落とした政略妻を甘く愛でる
「それでも琴子が泣くようなことがあれば、一ノ瀬家の権力をフルに使って日本に居られなくしてやる。そのことを肝に銘じておくように」
父からのとんでもない脅しに、忍さんは動揺もせずに微笑む。
そんな彼を見た父は「忌々しいくらいかわいげがない」と顔をしかめる。
「まぁいい。私は帰る」
「車を呼びましょうか」
忍さんの申し出に「いや、秘書を待たせてあるから大丈夫だ」と首を横に振って踵を返す。
「お父さん、ありがとう」
歩いていく背中に向かってお礼を言うと、一瞬だけ足を止めちらりとこちらを見た。
その横顔はものすごく不機嫌そうだったけど、少しだけ赤らんでいた。
きっとお母さんはお父さんのこんな表情が好きだったんだろうな。
そう思って、小さく笑った。
父からのとんでもない脅しに、忍さんは動揺もせずに微笑む。
そんな彼を見た父は「忌々しいくらいかわいげがない」と顔をしかめる。
「まぁいい。私は帰る」
「車を呼びましょうか」
忍さんの申し出に「いや、秘書を待たせてあるから大丈夫だ」と首を横に振って踵を返す。
「お父さん、ありがとう」
歩いていく背中に向かってお礼を言うと、一瞬だけ足を止めちらりとこちらを見た。
その横顔はものすごく不機嫌そうだったけど、少しだけ赤らんでいた。
きっとお母さんはお父さんのこんな表情が好きだったんだろうな。
そう思って、小さく笑った。