離縁するはずが、冷徹御曹司は娶り落とした政略妻を甘く愛でる
「あ、んん……っ」
 
 触れ合うたびに琴子が気持ちよさそうに甘い吐息をもらし、細い腰がぴくんと跳ねる。
 
 自分から誘ってきたくせに、恥ずかしそうに声をこらえる様子がかわいくて、もっともっと乱れさせたくなった。
 
 柔らかい胸に赤い印を残す。
 
 琴子は自分の妻なんだとたしかめるように、体中にキスをする。
 
 じっくりと愛撫していると、琴子が膝をすりあわせ切なそうにこちらを見た。
 
「忍さん、お願い……」
「もうほしいのか?」
 
 問いかけに、瞳を潤ませながら「うん」とうなずく。
 
 清楚で初心なのに敏感で、恥ずかしがり屋なのに大胆で。
 
 彼女のギャップがかわいくてたまらなくなる。
 
 細い腰を引き寄せ、太ももに手をかける。
 
 彼女の奥まで体を沈め、深く深くつながる。
 
 ずっと求めていたものが手に入った高揚感に、胸が震えた。
 
「琴子」
 
 名前を呼ぶと、彼女がこちらを見上げる。
 
「忍さん……」と満たされた甘い笑みを浮かべた。
 
 琴子が自分を受け入れ、幸せそうに笑ってくれた。
 
< 167 / 179 >

この作品をシェア

pagetop