離縁するはずが、冷徹御曹司は娶り落とした政略妻を甘く愛でる
 学生時代の友人や、忍さんと出会うきっかけになった美容師のひとみも招待するつもりだ。
 
 ひとみに忍さんときちんと話し合って、本当の夫婦になれたと報告すると、『よかったね』と自分のことのようによろこんでくれた。
 
「それに、忍さんのタキシード姿を見られるのが楽しみです」
 
 スタイルがよく凛々しい彼の花婿姿は絶対にかっこいい。
 
 想像するだけで今からわくわくしてしまう。
 
「俺は琴子のドレス姿をほかの男に見られるのは少しおもしろくないけどな」
 
 うかれる私とは対照的に、忍さんは顔をしかめた。
 
「忍さんって、意外とやきもちやきですよね」
「あぁ。自分でもこんなに心が狭かったのかと驚いてる」
 
 忍さんは言いながら、私が持っていたカフェオレを取り上げセンターテーブルに置く。
 
 そして私を引き寄せ、膝の上に抱いた。
 
「心が狭い男でがっかりしたか?」
 
 耳元でささやかれ、くすぐったさに肩をすくめながら首を振った。
 
「まさか。いつも大人で余裕がある忍さんが、私にだけ嫉妬してくれるなんて、うれしくて仕方ないです」
「本当に?」
 
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