先輩といろどる恋。˚✩
紫吹ちゃんと手を繋いで歩いて一颯くんのバイト先に着いた時には一颯くんのバイトは終わっていた。
来る途中凪桜先輩が話しかけても私に隠れて目も合わせなかった紫吹ちゃんは本当に人見知りのようだった。
なぜこんなに私に懐いてるのかは謎だけど。
「紫吹!」
「おにーちゃん!」
バイトを終えた一颯くんに抱きつく紫吹ちゃん。
その頭を撫でる一颯くん。
その姿が微笑ましくて、私の家族にもこんな時期があったなぁなんて少し泣きそうになった。
「ありがとな、迷惑かけた」
「ううん!平気だよ!見つかってよかった!」
「風子ちゃんありがとう!」
紫吹ちゃんの可愛らしい笑顔で探し回った疲れも吹っ飛ぶ。
こうして並ぶと2人はやっぱり似てるなぁ。
美男美女だ。
「じゃあ私達これで行くね!
もう喧嘩しちゃだめだよー!」
本当はデートだったのに出来なくなってしまったから少しでも2人の時間が欲しくてそそくさ立ち去ろうとすると
紫吹ちゃんが私の手を取って引き止めた。
「もう行っちゃうの?」
「ごめんね?」
「今度お家に遊びに来て?」
「えっと…うん!わかった!」
「ほんと?約束ね!」
嬉しそうに笑う紫吹ちゃんに私は曖昧に笑う。
まぁ、紫吹ちゃんと遊ぶためなら行っても大丈夫かな。なんて思いながら私は2人に手を振って歩き出す。
隣を歩く凪桜先輩は少し呆れた顔をしていて、絶対退屈させたよね…。