先輩といろどる恋。˚✩
どうしよう、なんとか穏便に済ませないと。
と、声をあげようとした私の頭に手を乗せて凪桜先輩がその子達に視線を向けた。
「俺、めんどーな子嫌いなんだ。
俺と付き合ってる子を貶したらそれ、俺を貶してるのと一緒だから。
君たちも本当に好きな人が出来たらわかるかもね。」
面倒そうに、でも私のことをちゃんと庇ってくれる凪桜先輩に惚れ直す私と、凪桜先輩の冷たい言葉に凍りつく空気。
どうしたものか…。
私も女の子達も凍りついて動けなくなる中、先輩の肩をポンポンと笑いながら叩いて校内1可愛いと言われる女の人が現れた。
「凪桜、ダメじゃん女の子たち怯えさせちゃ」
「先に失礼なこと言ったのはあっち」
「だからってダメだって教えたでしょ?
もー、2年クラス違うだけですぐ冷たい男になるんだからー」
「冷たくは無いだろ」
「ほら、口調も!もっと笑いなー?かっこいいんだから!」
校内一の美女である春川 櫻(はるかわ さくら)先輩。
名前からしてもう美しいよね。
先輩と知り合いだったんだ…なんて顔で私が見ると、周りにいた子がクスッと笑うのが聞こえてきた。
「やっぱあの普通な先輩じゃなくて、春川先輩が彼女なんだよ」
「お似合いだよねー、春川先輩と凪桜先輩」
クスクスと私に聞こえるように言われる言葉に客観的に見ると確実に誰が見ても私より春川先輩のが、お似合いなのはわかりきったこと。
それでも先輩の彼女は私だよ!と大声で言えない私はやっぱりまだ凪桜先輩と釣り合うまで登れてないんだろうな。
「さ!席着こう一颯くん!」
少し暗くなる気持ちを抑え、笑顔で一颯くんと共に私は席に着いたのだった。