先輩といろどる恋。˚✩
長々と先生の話を半分聞き流している間に終わった委員会。
「帰ろーぜ七海」
「うん!今日一颯くんもバイトだったよね?」
「おう、早くしねーと遅れるぞ」
「急ごう急ごう!」
委員が終わってすぐそんな話をしながら、お似合いの2人が並ぶ姿を見たくなくて急いで教室を出ようとした私の手は掴まれる。
「待って」
「凪桜先輩?」
「怒ってんの?」
凪桜先輩は困ったような顔で私の手を取ったままそう聞いてきた。
隣には春川先輩が居てやっぱりそれは絵になる並び。
「怒ってないですよ!
私が凪桜先輩に怒るわけないじゃないですかー!」
「でも…」
「バイト急いでますのでまた後ほど!」
これ以上絵になる並びを見せつけられるのが嫌で私は走って凪桜先輩の前から逃げる。
こんなに凪桜先輩と付き合ってることを誰かに何かを言われたのが初めてで気が動転してるんだ。
今になってやっと凪桜先輩と付き合うことがどれほどの事なのか実感したみたいな…。
「おい!七海!お前足はえーよ!」
「あ、ごめんごめん!ついつい!」
「大丈夫かよ」
「えー大丈夫だよ!ほら早く行こ行こ!」
嫉妬や憎悪を向けられることに慣れてない私はこの焦燥感が嫌で、早くバイトに行って気分を晴らしたい。
そんな気持ちをくみ取ってくれたのか一颯くんは何も言わず着いてきてくれたのだった。