先輩といろどる恋。˚✩
【凪桜side】
「あーあ、絶対傷ついてるよ彼女」
風子が走っていった後俺と櫻が並んで歩きながら教室に帰る時、櫻はそう言った。
「やっぱそうだよな?」
「うん、女の子たちに妬まれて嫌味言われて目の前で彼氏がその場の空気悪くしたらそりゃ傷つくよー。
凪桜は相変わらず下手くそだよねぇ」
「下手、か」
「あそこで俺の可愛い彼女だから文句言わないで?くらい言えばねー」
「そんな恥ずかしいこと言えるか」
「へー?私の時はなりふり構ってなかったくせに?」
「うるせー。」
櫻は中学が一緒の元カノ。
適当な恋愛しかしてこなかった。そう言い続ける俺だけど、櫻だけは特別だった。
それは多分トトやトラも知らないことで、俺と櫻だけの秘密。
これからもきっと誰にも言うことは無いだろう。
櫻は美人なのに明るくて気取ってなくてまっすぐで、それまで来る者拒まずだった俺は中2で同じクラスになってからはすぐにそんな仲になった。
その時の俺はもっと周りのことなんてどうでも良くて言葉を選ぶことも無く口にしてたけど、櫻と付き合ってからは櫻の嫌なことはしたくないと全部変えた。
それから卒業まで付き合ったけど、これ以上俺と付き合って嫉妬の目が嫌だ怖いと別れを告げられた。
もちろん何としてもと引き止めた。キャラじゃないことも沢山言った。でもダメだった。
だからもう高校でも適当な恋愛しかしないと決めてたのに風子が現れてまた特別な存在ができたんだ。