先輩といろどる恋。˚✩
確かに俺と櫻が本気だって知ってる人はいなかったし、それを友達に言うのも恥ずかしかった時期で誰も知らなかったから。
それに比べたら今は優しい環境だよな。
「意外と他人からの声って自分の中に積もり積もるんだよ。
妬み僻み悪意。女の子同士の方がそれは強いからね。
どんどん積み重なって気づいたら自分の中の大事な自己肯定感が消えていくの」
他人からの声に耐えられなくて別れた櫻は苦しそうにそう言う。
俺は周りから美人と付き合えていいなくらいは言われたことはあるが別に気にしたことも無いし、風子と付き合っててももっと美人と付き合えるだろうと言われるがそれも無視。
誰と付き合うかなんて俺が決めることだし。
それでも女同士はもっと過酷なものなのだろうか。
「怖いんだよ、女同士って。
もっとちゃんとしっかり守ってあげないと、今の彼女だって辛くて凪桜から逃げていくよ?」
「それは…困るな」
「でしょ?
だったらもっとしっかりしなよー?
ほら、バイト先に迎えに行くなりなんなりしな!」
「わかった。
ありがとな櫻」
「うんうん!なんでも相談してねー!」
ニコニコと笑いながら教室のカバンを取ってドアへと向かう。
その姿は付き合っていたあの頃と何も変わってなくて、少しだけ苦しくなった。