先輩といろどる恋。˚✩
それからはまた4人であちこち回ったり、ご飯を食べたりして過ごして気づくともう夕方の6時を回っていた。
「そろそろいい時間だな」
そんな凪桜先輩の言葉と共に、帰る雰囲気になるが私はそんなの絶対にダメだ!!
「観覧車に乗りましょう!!」
「乗らないよ」
「どうしてですかー!!」
「どうしても」
最初の最後が私の夢なのに最初も行けず最後も行けないなんてあんまりだァァ!
そんな気持ちで嘆く私をトラ先輩がクスッと笑う。
「ナギ、行ってあげたら?」
「なんでだよ」
「可哀想だよ」
「可哀想って言葉が一番かわいそうだぞ」
私に道場の眼差しを向けるトラ先輩と面倒そうな顔の凪桜先輩。
凪桜先輩は面倒くさくなると少し口調が荒くなるよね。
「はぁ…わかったよ、観覧車だろ?」
トラ先輩からの圧に屈した凪桜先輩はため息をついて了承してくれる。
嬉しい。嬉しすぎる。
「ほら、行ってらっしゃい」
「いやなんでだよ、トラとハルちゃんもだろ」
「そんな野暮なことできませんよぉ〜、お2人でどうぞぉ〜」
「うんうん」
「は?」
瑠璃佳とトラ先輩の気遣いに意味不明と言いたげな顔の凪桜先輩。
やっぱり2人きりは嫌なのですか?
「ナギももう分かってるでしょ?
ふーちゃんはその辺のミーハーな子とは違うって」
「…わかってるよ」
私の顔を見ながらそんな会話をする2人に、どうやったら先輩に好きになってもらえるのかわからない。
それでも先輩はとりあえず観覧車に2人で乗ることは了承してくれたようで、舞い上がる気持ちを抑えて観覧車へと足を向けた。