先輩といろどる恋。˚✩
これだけの情報を伝えても覚えられてなかったらどうしようと不安を抱えながら見上げると
凪桜先輩は納得したような顔になった。
「あー、でも別にアレいらないからやっただけだしお返しとかいらね」
凪桜先輩はそう言うと私たちの間を抜けて自分の席へと振り返りもせずに歩いて言ってしまう。
えっ…いらない…??
もちろんショックを受けた私だけど、そんな塩対応すらもかっこいいと思ってしまう。
「ごめんね、あいついつもあんななんだ」
トラくんと呼ばれた人は私にそう謝るが、なんのなんの。
今まで振られ続けても、積極的な私なんだからなんてことありませんよ!
「凪桜先輩!!」
このまま引き下がっても何も進展がないと思った私は、席に着いた凪桜先輩に届く声で呼びかける。
それでも振り向きすらしない凪桜先輩。
「貴方に恋をしました!」
「は?」
振り向きもしなかった先輩だけどさすがにその言葉には反応して、私を見てくれた。
「一目惚れです!」
周りのみんなも驚いた顔をしているけど、動じない精神の持ち主であろう先輩の目が少しでも私に向いてくれたのが嬉しい。
でも先輩はため息をつく。
「一目惚れとか、それ勘違いだから」