先輩といろどる恋。˚✩
「ふうが知らないだけでずーっとお父さん浮気してたのよ。
それの罪悪感で今まで優しかったの。
お母さん最近気がついて証拠突きつけたらこんなよ」
どうしたものか…。
にわかに信じ難い現実を私は第三者のように見るしかできない。
お父さんがいないからと泣きわめくような年齢でもないし。
「ふうはいいわね、お母さんの気持ちも知らないで男の子、彼氏?とデートだなんて」
「え?違うよ!」
「はぁ…もうどうでもいいわ。
着いてこないで探さないでね」
お母さんは疲れたようにそういうと財布からお金を数千円取り出して置いてお店を出ていった。
探さないでって…なに?
私がどうしていいかわからず立ちつくしていると、一颯くんは何も言わずに床にちらばった破片をほうきで集め始めた。
「何言ったって仕方ないだろ。さっさと動けノロマ」
「そう、だよね!うん!」
何言ったって仕方ない。そりゃそうだ。
離婚が決まった事実で、店のやばい状態も事実なら片付けれるものから片付けるしかない。
私の唯一の元気でポジティブな取り柄を今こそ生かさないと。
「ごめんね一颯くん、恥ずかしいとこ見られちゃった!」
「別に。早く片付けるぞ」
「うん、ありがとう!」
こんな恥ずかしい家庭事情を見られたのが先輩じゃなくて良かった。
そんなことを思いながら一颯くんに感謝しながら2人で手分けして荒れ果てたお店の中を片付け始めたのだった。