先輩といろどる恋。˚✩
私今日から凪桜先輩の彼女なんだ。
あまりの嬉しさに今すぐ誰かに話して世界中の人に教えて回りたいくらい。
私の彼氏は素敵な人ですって。
それくらい浮かれながらリビングに入った私はすっかり現実を忘れていたのに気がついた。
「やだぁ〜、ヒロシさんったら面白い!」
「はは!だろ?
今度旅行行こうぜ」
そう、リビングにはお酒の瓶を何本も開けて洋服も脱ぎ捨てて下着姿のお母さんとヒロシさんが
散らかった部屋のソファーでベタベタとくっついていた。
なんだか嫌だな。
そんな感情が湧いてくるけど未成年の私では何もできることなんてない。
もともとお母さんは気持ちが弱い人ではあった。自信がなくて自分じゃ何も決められないような。
逆にお父さんはポジティブで明るい人。それこそ私に顔も性格も似てる感じの。
「あら風子帰ったの?
彼氏の家に泊まればよかったのに〜、邪魔だから帰ってこないでよねぇ〜」
「おいおい、言い過ぎだろ?」
「え〜でもヒロシさんもさっき邪魔だって言ってたじゃない」
そんな会話に頭が痛くなる私は何も言わずリビングから出て3階の自室に逃げ込む。
人は短期間であんなにも変わってしまうんだなぁ。
「はぁ、疲れた」
浴衣を脱いで部屋着に着替えて寝転がる私はいいことを思い出そうと先輩の隠し撮りを見てニヤニヤする。
あー、バイトも探さなくちゃなー。
幸せな気持ちを噛み締めてこれからの生活も大丈夫だと思うこの時の私は、付き合うまでが恋愛のゴールだと思っていたのだった。