不倫彼氏とデートした夜、交通事故に遭ったら、出逢う前に戻っていました。
目覚めると私は病院のベットの中にいた。

窓の外は真っ暗。夜だ。

「お姉ちゃん! 気がついた? 紗智だよ。分かる?」

紗智の顔が私の眼前に迫ってきた。

「近っ。なに言ってるの? 紗智に決まってるじゃない」

「そう。紗智だよ。良かったぁ。頭ぶつけて気失ってたから、どうかなっちゃうかと思ったよー。ママに連絡しなきゃ」

「頭?」

私は言い、思い出した。
そうだ、バーに向かう途中、溝に足を取られて何かにぶつかったんだ──。

「そっか、私、気を失ったんだ。後ろから来た何かにぶつかって倒れて。あれは、自転車とかだったのかな」

紗智が急に顔を曇らせた。

「お姉ちゃん、なんの話?」

「なんのって、私が夕べ舗道で事故に遭った話」

紗智がますます顔をこわばらせた。

「夕べってなに? お姉ちゃん、今日の昼、うちの階段から足を滑らせて、気絶したんだよ」

「ええっ?」

私は思わず叫び声を上げた。

「どういうこと?」

今度は私が聞く番だった。

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