不倫彼氏とデートした夜、交通事故に遭ったら、出逢う前に戻っていました。
3年前の今日のことを頑張って思い出してみると、紗智の言う通り部屋の片付けをした記憶があった。

あの時は何事もなく、段ボールを下の階に運んだのだけど──。

紗智に大学の話を振ってみると、驚きもせず普通の対応をした。

タイムリープ──。

それしかない。

アニメやドラマで都合よく起こるSFの現象。

そんなことが現実に起こるなんて信じられないけれど、今が3年前である以上、事実として受け入れるしかない。

トリガーは後ろにひっくり返って、自転車か何かと衝突し、したたかに頭を打ったことだろう。

さっき医者から脳しんとうの回復前に再び頭を打つと、セカンドインパクト症候群を起こすことがあると言われた。
重症の意識障害等が現れ、後遺症を残す可能性が高いとも言われたので、今そのトリガーを試すことはできない。

それにタイムリープが成功して、未来の私に戻ったところで、妊婦の紗智を祝福するふりをしながらマッキーとの恋を続けていくだけだ。

そうだ──。

私は恐る恐る「大和先生、元気かしらね」とマッキーの名字を出してみた。

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