婚約解消するはずが、宿敵御曹司はウブな許嫁を愛で尽くす~甘くほどける政略結婚~
子供の頃にコンプレックスだったらしい可愛かった顔は、今や“イケメン”と称されるに相応しく成長し、相変わらず抜群に整っている。
今更怜士にドキドキなんてしたくないのに、あのルックスから放たれる眼差しに魅せられてしまった。
政略結婚をする前に、好きな人と恋愛をしたい。
そう宣言した私に、彼は『俺とすればいい』と言った。
そんなことあり得ないと思っていたけど、怜士の告白と、今日彩佳先輩から聞いた話を踏まえて考えると、突き放したままでいいのか迷いが生じてくる。
週刊誌に載るような恋人がいると思っていたし、私達の間には愛はなく、単なる政略結婚だと諦めていた。
だけど、怜士は社会人になってからは恋人はおらず、変わらず私を好きだという。
ならば彼の言う通り、怜士と恋をすれば丸く収まる。全部がうまくいく。
そう思うのに、告白された事実を単純に喜べないほど私の心は過去に囚われ、固く閉ざされてしまっていた。