婚約解消するはずが、宿敵御曹司はウブな許嫁を愛で尽くす~甘くほどける政略結婚~
「んんっ!」
くぐもった声に恐怖の色が混じっていないのを確認して、いくつも跡を残していく。
眉を寄せ、きゅっと目を閉じて身を捩る陽菜の姿に煽られるが、これ以上していたらさすがに理性が効かなくなりそうだ。
「陽菜」
「れ、怜士……あの……」
「大丈夫。“ごっこ”の段階でこれ以上はしない」
俺の言葉に、陽菜が驚いたように濡れた瞳で見上げてきた。
「言ったろ、二度と陽菜を怖がらせるようなことはしない。それに、陽菜のハジメテを貰うなら、俺を好きになってもらってから、ベッドでじっくりシたいしな」
余裕ぶってニヤリと笑う。
そうでもしていないと、今すぐにでも襲いかかってしまいそうだった。
「……バカ」
悪態を吐く声があまりにも可愛くて、もう一度だけと自分に言い訳をしながら陽菜の唇を奪った。