婚約解消するはずが、宿敵御曹司はウブな許嫁を愛で尽くす~甘くほどける政略結婚~
「なに?」
「いや、想像してた。陽菜がウェディングドレス着てるとこ」
「へっ?」
突拍子もない答えに、思わず変な声が出た。
私が手首に下げている小さなショッピングバックを指さす。
「それ。次は、本物を贈りたい」
先程買ってもらったたくさんのアクセサリー。中には、ひとつだけ指輪も入っている。
怜士の言葉が何を意味しているのか、わからないほど鈍感じゃない。
「怜士」
嬉しくて言葉に詰まると、それを見た怜士は前髪を掻き上げて首を振った。
「悪い。急ぎ過ぎだよな」
苦笑する怜士の表情に、ぎゅっと胸が締め付けられる。
教会で私のドレス姿を想像したり、早くエンゲージリングを贈りたいとつぶやいてしまうほど、私との結婚を望んでくれているなんて。
溢れるほどの愛を伝えてくれる彼に、早く私も応えたい。
小さく首を横に振ると、そっと両手を握りしめられた。