婚約解消するはずが、宿敵御曹司はウブな許嫁を愛で尽くす~甘くほどける政略結婚~
仕事を続けることに私の父はいい顔をしないだろうけれど、怜士の両親は『ふたりが納得しているのなら、陽菜ちゃんの好きにしたらいい』と言ってくれた。
あの顔合わせの日、とんだ醜態を晒したというのに、ご両親は私を怜士の妻として快く迎えてくれた。
お言葉に甘えているけれど、ふたりが麻生の跡継ぎを心待ちにしているのはわかっている。
私も子供が好きでこの仕事をしているし、自分の子供ならなおさら可愛いのだろうなと思う。
いつか期待に応えられたらいいな。
いや、むしろ、応えられるのはそう遠くないのではと感じている。
というのも……。
「ん……っ! だめって、怜士。遅刻しちゃう」
「まだ大丈夫。あと五分だけ」
「もう、それで済んだ試しがないからだめって言ってるのに」
長い腕が私の腰に絡みつき、振り向きざまに唇を奪われる。
なんとか腕の中から脱出しようと試みるも甘いキスに絆され、毎朝ベッドから出るのに一苦労だ。
昨夜もあれだけ愛し合ったというのに、一体怜士の体力はどうなってるの?