婚約解消するはずが、宿敵御曹司はウブな許嫁を愛で尽くす~甘くほどける政略結婚~

彼はすぐに周囲の職員に声を掛けて子供たちを分散させると、それぞれのテーブルに、子供に合わせて遊びを織り交ぜた形で配布されたプリントの答え合わせをするよう指示を出した。

「できた!」
「わかったー! ねぇ、もっとやりたい」

子供たちの自ら学びたい欲求をうまく引き出し、楽しくいろんなことを学べる理想の教育。

それが今、目の前に広がっている。

遠くない未来、きっと怜士は新しい幼児教育の形を世に広める立役者になる。

私は誇らしい気持ちで怜士を見つめた。

「今日ここで遊んで覚えたことを、家に帰ったらおうちの人にお話してください。出来るかな?」
「できるー」

子供たちに向けて話していた怜士は、うしろに控えていた保護者の方に向き直る。

「この時期の子供たちにとって、インプットと同じくらいアウトプットも大切です。忙しくてなかなか時間がとれないこともあるかと思います。お風呂の時間でも、寝る前の三分でもいい。その日子供たちが学んだことを聞いてあげて下さい。子供の“知りたい欲”や“覚えた知識を披露したい欲”を育ててあげれば、自然と勉強が楽しくなるはずです」

怜士の言葉に聞き入っていたママさん達から、感嘆のため息が漏れた。

「机に座って勉強するだけが学習ではありません。わが社では子供の成長に合わせ、好奇心を刺激しながら楽しんで知識を身に着けられるような教育を目指したいと考えています」

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