婚約解消するはずが、宿敵御曹司はウブな許嫁を愛で尽くす~甘くほどける政略結婚~
池田は突然ワークショップを開催することに不満があるようだが、俺のうぬぼれでなければ、それだけではない気がしている。
彼女も、俺と陽菜は政略的な愛のない結婚をしたと思っているのだろう。
ふとした瞬間や馴れ馴れしい仕草に、少しだけ恋愛的な好意が混ざっている。
とはいえ、彼女がなにか言ってきたりアクションを起こさない限り、こちらからはどうしようもない。
誤解や勘違いをさせないよう言動には注意し、極力ふたりきりにならないよう努めた。
ワークショップの開催が決まると、その準備に追われ今まで以上に多忙な日々が続く。
既存の中高校生向けの塾の広報課とも連携を取りながら、提携を持ちかけられた『ブルーム』にも出向き、システム開発の進捗など打ち合わせを重ねた。
社内にいられる時間が少なく、チームの報告は池田が都度メールをくれることになっているが、効率が悪いという理由で電話がくることもしばしば。
適度な距離を取りたいと思っているものの、仕事である以上拒否は出来ない。
休日にまで掛けてくるのは他意がありそうではあるが、彼女自身が休日出勤をしていて、その時に動いた案件の報告だと言われてしまえば聞かないわけにはいかなかった。