婚約解消するはずが、宿敵御曹司はウブな許嫁を愛で尽くす~甘くほどける政略結婚~

怜士が急に素っ気なくなったのは、高校に入学してすぐの頃。

話しかけても睨むようにして言葉を返してくれなくなり、私はただ困惑するばかり。

はじめは、私と同じく急な結婚話で照れくさいのだと思ってた。

だけど、その年の夏休み。毎年私と一緒に行っていた夏祭りで、女の子と親しげに歩いているのを見かけた。

その子が怜士の彼女だという噂を聞いたのはすぐのこと。

ショックだったし、意味がわからなかった。

お祭りに誘われなかったことも、他の女の子と一緒に行ってしまったことも。

一体どうして? 私達、結婚の約束までしてるんだよ?

そう言いたくても、怜士は私と話さえしてくれなかった。

混乱する私を落ち込ませる話は、それだけでは終わらない。

怜士はその後も隣を歩く女の子をコロコロと変えた。

中等部の頃は、ずっと私の居場所だったはずの怜士の隣。

確認したわけじゃないけれど、きっと同級生はみんなそんな認識だった。夫婦同然なんてからかわれ、照れくさくて「やめてよ」なんて言ってたけど、本当は嬉しかった。

< 23 / 262 >

この作品をシェア

pagetop