婚約解消するはずが、宿敵御曹司はウブな許嫁を愛で尽くす~甘くほどける政略結婚~

そして今朝、いつもどおりに接しようと陽菜の顔を見ると、あまり眠れなかったのか顔色がよくない気がする。

心配しながらも今日の予定を聞き、何もないと答えた陽菜にワークショップを見に来てほしいと頼んだ。

ずっとあたためてきた夢の実現の第一歩を、誰よりも陽菜に見ていてほしい。

彼女は俺の言葉に少しだけ嬉しそうに微笑んで頷いてくれた。

その様子に、今なら昨日のことを話し合えそうだと感じたが、生憎時間がない。

いつも通り玄関まで見送ってくれる陽菜にキスをすると、どこかぎこちなく、子供の頃のようにスッキリ仲直りとはいかない雰囲気に苦笑が漏れた。

今日帰ったら必ず話をしよう。そう決意して家を出た。



ワークショップは狙い通り反響が大きく、たくさんの親子に参加してもらうことが出来た。

やはりマーケティング通り、保護者からは受験対策や勉強に特化した教室への関心が高い。

ブースを区切り、スタッフに指示を出しながら様子を窺っていたところに、陽菜が見に来てくれていることに気が付いた。

彼女は参加者の男の子を連れて、空いていたテーブルに座っている。

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