婚約解消するはずが、宿敵御曹司はウブな許嫁を愛で尽くす~甘くほどける政略結婚~
でも、高等部から外部受験で入学してきた子たちはそんなことは知らない。
麻生グループの御曹司である怜士はとにかくモテた。
肩書きだけでなく、中学の終わりごろからメキメキ伸びた長身と甘いルックスのギャップに、女子生徒たちはみんな夢中になっていく。
だけど、どんな女の子と付き合っても長く続かなかった。
あとから知った話だが、怜士が誰にも本気にならないのは私と婚約しているせいだという噂がまことしやかに流れていたらしい。
そのせいで、怜士とデートしたものの二番手扱いされた女の子たちから、散々な目に遭ってきた。
どれだけ噂が流れても、怜士は肯定も否定もしなかった。私がいくら困ろうとどうでもよかったのだろう。
初恋はあっさり散り、気まずさを感じたり悲しみに浸る間もなく、怜士に対する嫌悪感だけが増していく。
一度は喜んで結婚を承諾した自分が恥ずかしい。
その後、何度も父に怜士との結婚話はなかったことにしてほしいとお願いしても、聞き入れてはもらえなかった。
それならばと、我慢に我慢を重ねて破断に向けて念入りに準備をし、直接自分で断ろうと思って挑んだのが今日の顔合わせだった。