婚約解消するはずが、宿敵御曹司はウブな許嫁を愛で尽くす~甘くほどける政略結婚~
きっとこれが千花や先生の言っていた通り、ホルモンバランスでナイーブになっていたということなんだろう。
それでも怜士は私を労り、責めることなく、こうして甘やかしてくれる。
「大好き、怜士」
「陽菜」
「ありがとう。怜士とこの子と家族になれるのが、本当に嬉しい」
「あぁ、俺もだ。愛してる、陽菜」
互いに愛を囁き合い、何度もキスを繰り返す。
いつもならそのまま寝室に行く流れではあるが、妊娠初期で、退院したばかりの私には、その流れに身を任せるわけにはいかない。
怜士もそれに気付いたのか、苦笑しながら唇を解いた。
「このままだと理性が保ちそうにない」
「あの、なんか……ごめんね?」
女性は妊娠すると、子供を守るために本能的に性欲が湧かなくなるらしい。
だけど、男性はそうはいかない。
安定期に入れば、経過が順調であればそうした行為も出来るらしいが、今はまだ我慢してもらう他ない。
「謝らなくていい。それから、余計な心配はするなよ」
「余計な心配って?」
「いや、知らないならいい」
「なによ、そこまで言ったら気になるじゃん」