婚約解消するはずが、宿敵御曹司はウブな許嫁を愛で尽くす~甘くほどける政略結婚~
「やっとこの手に抱けるんだ。絶対逃さない」
私を見つめる鋭く熱い瞳に囚われて言葉を失う。
色気と熱を多分に含んだ視線で見下され、何人の女の子がこの角度から怜士を見つめたのだろうと頭の片隅によぎって胸が痛んだ。
どうしてこんなことをするの?
週刊誌に撮られるような恋人がいるはずなのに、一体なにを考えてるの?
高校に上がるまでは毎日のように一緒にいたというのに、今は怜士のことがまるでわからない。
乱暴ではないものの、性急に身体に触れられる。
繊細なレースのあしらわれた和装ブラのファスナーを下ろされ、隠すもののない胸元が怜士の目に晒されていることに顔から火が出そうなほど恥ずかしい。
直接胸の膨らみに触れられ、自分の意思とは関係なく身体が跳ねる。
それを見た怜士が意地の悪い笑みを浮かべて唇を這わせると、痛みと共に赤い花びらのような跡が散る。
「んっ、やだ! いやだってば……!」
徐々に現実味を増してくるこの状況に、身体がカタカタと震えだした。