婚約解消するはずが、宿敵御曹司はウブな許嫁を愛で尽くす~甘くほどける政略結婚~
「あなたと結婚したくなくて、私はひとりでも生きていけるように必死に勉強したし、たくさん資格もとった。貯金だってした。恋愛したり遊んだりする暇なんてなかったの!」
怜士が女の子達と楽しんでいる間、私は彼に好意を持つ子達からの嫌がらせに晒されながら、必死に自立しようともがいていた。
『親が決めただけの政略結婚なんでしょ?』
『怜士くんが可哀想』
『相手にされてないくせに、いつまで婚約者でいるつもりなの?』
『家柄しか取り柄がないくせに』
彼女達からそんな言葉を浴びせられ、どれだけ惨めな思いをさせられたか。
悔しくて言い返したくなるのを、何度もあと少しの辛抱だと自分に言い聞かせて我慢してきた。
『所詮お嬢様育ち』だとバカにされないため、がむしゃらに知識を詰め込み、高校に入ってからは父に内緒でバイトをしてお金を貯めた。
クラスメイトが親のお金で優雅に遊んだり恋人と過ごしているなか、私は学業とバイトの両立に必死でそれどころじゃなかったけど、後悔は全くない。
それもこれも全部、この男、麻生怜士との結婚から逃れるため。
それなのに……。