婚約解消するはずが、宿敵御曹司はウブな許嫁を愛で尽くす~甘くほどける政略結婚~

その言い草から、怜士の刺すような視線に怯んでいないのは一目瞭然で、常識を弁えるよう年上の余裕を見せられた怜士はバツが悪そうに眉を寄せた。

「また月曜な。次は四人で飲もう」

山崎先生はそう言って、駅の方へ歩いていってしまった。

残された私はとても居心地が悪い。

とはいえ、山崎先生も言っていた通り、ここは裏側とはいえ保育園の目の前。

こんな場所で言い合いなんてしてはいられない。

「……悪かった」
「え?」
「場所を変えよう。乗って」

西日を反射して光る白いスポーツカーの助手席に促され、私はやむを得ず車に乗り込んだ。

そこから無言で車を走らせること十五分ほど。

幹線道路沿いに多く立ち並ぶ高層マンションの一角にある、一際目を引く低層レジデンスに、怜士の住む部屋があるらしい。

木材や石材などの自然素材を多く使った外観は、まるでヨーロッパの老舗ホテルのようだ。

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