婚約解消するはずが、宿敵御曹司はウブな許嫁を愛で尽くす~甘くほどける政略結婚~
客間なのに明らかに女性向けのインテリアということは……まぁそういうことなんだろう。
可愛らしさを含んだナチュラルな雰囲気で、悔しいことに私と好みが似ているらしい。
モデルの彼女は、私がここに入っても怒らないのだろうかと、余計な疑問が湧いた。
ドアの横には私のキャリーバッグが置かれ、ベッドの奥のクローゼットには見慣れたワードローブがハンガーに掛けられ几帳面に等間隔で並んでいる。
勝手に送られてきていた荷物を見て、思わず顔をしかめた。
「この一週間、同僚の家にいたのか」
怜士に先程の話の続きを促され、私は仕方なく口を開く。
「同級生の千花、覚えてる?」
「あぁ。森野だろ、お前と仲の良かった」
「そう。千花も同じ職場なの。彼女の家に泊まらせてもらってた」
「森野、去年結婚しなかったか?それに、さっきのやつが言ってたホテル生活っていうのは?」
もう、山崎先生が余計なこと言うから……。
ため息を吐きながら質問に最低限の言葉で答えた。