婚約解消するはずが、宿敵御曹司はウブな許嫁を愛で尽くす~甘くほどける政略結婚~
「驚いた。麻生くんたら、まだそんなことしてるの……」
彩佳先輩は呆れたように頭を抱えて項垂れている。
“まだそんなことしてる”って、一体どういう意味だろう。
私が首を傾げていると、先輩がとんでもないことを言いだした。
「ねぇ霧崎さん。その“結婚する前の恋愛”、私がお手伝いするわ」
「え?」
「私の会社の同期にね、彼女募集中の素敵な男性がいるの」
彩佳先輩は、学生時代には見たことのないような無邪気な顔をして笑っている。
その表情は、保育園の子供がイタズラを仕掛ける前に見せる顔にそっくりだった。