婚約解消するはずが、宿敵御曹司はウブな許嫁を愛で尽くす~甘くほどける政略結婚~
「父は保育士のことを“遊びのような仕事”だって言ってた。あの人にとっては、花嫁修業もしないで大企業に務めるわけでもないなら、フラフラ遊んでるのと同義なんだと思う」
絶句して固まっていた怜士だけど、しばらくすると膝の間に頭を埋めるように項垂れてしまった。
「あとは、この前店で両親と言い合ってたのを聞いた通りだよ。高校に入って、怜士が彼女とかつくり出したのを見て、両親に結婚はしたくないって頼んだ。結局、聞く耳をもたずに売り飛ばされたけど」
なんて、さすがに嫌味っぽすぎたかな。
会社に資金援助してもらっているのなら、本来感謝して然るべきところなんだから。
だけど、素直にお礼を言う気にはなれなかった。
「全部、誤解だったってことか……」
呆然とした声で呟いた怜士が、くしゃっと自分の前髪を掻きむしった。
「陽菜からしたら、学生時代の俺は最低に映ったよな」
「まぁ……そうだね」
あまりに項垂れている怜士の様子に、学生時代だけじゃなく現在進行系で最低なのではという言葉はぶつけられなかった。
私の脳裏に、週刊誌の記事がよぎる。