男装獣師と妖獣ノエル ~騎士団で紅一点!? 幼馴染の副団長が過保護です~
 さて、とりあえず確認してくるか。

 周囲にいる大人たちの目にうんざりしながら、ラビは、それとなくノエルの背中を叩いて歩き出した。ノエルがそれに応えるように、長く大きな尻尾を振って、ラビの華奢な背中を押した。

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 村の中心地にあるヒューガノーズ伯爵の別荘の前には、騎士団の紋章が刻まれた二台の立派な馬車が停まっていた。

 随分前に到着したのか、どの馬も落ち着いて呼吸に乱れはなかった。毛も整えられており、先頭の馬のそばには、丹念にブラシをかけている中年男の姿があった。別荘に勤めている使用人の一人だと、ラビはその男の顔を見て確認した。

 恐らく、先程慌ただしく通っていた馬車はこれだったのだろう。

 王宮騎士団お抱えの馬は、どれも美しい茶色の毛並みをしていた。後方に停まっていた馬車に繋がれていた馬の一頭が、歩くラビとノエルに目を向ける。

 ラビは、他の人目が自分に向けられていない事を確認してから、優しい瞳をしたその馬に「こんにちは」と労った笑みを向けた。もしかしたら以前話しをし、自分の事を知っている馬なのかもしれないと思ったからだ。
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