男装獣師と妖獣ノエル ~騎士団で紅一点!? 幼馴染の副団長が過保護です~
 ラビとノエルは、【月の石】や、明確な詳細については語らなかった。騎士団を代表して、グリセンとセドリックが報告会の進行役を務めたが、追及するような質問はせず、ユリシスを含む他の男達も、何でもないような顔で聞き手に回っていた。

 疲労もたまっていたので、その夜は早めの消灯となった。

 先に寝室に戻ったラビとノエルは、難しい事を考えないまま、狭いベッドで一緒に就寝し、話しもそこそこに深い眠りに落ちていった。


 しかし、ラビとノエルが早々に寝付いた事が確認された後、騎士団の男達は足音を忍ばせ、再び広間に集まっていた。

 ラビとノエルを除いて行われた集まりの中、特別な石の存在や、ノエルのような見えない妖獣については、上にも報告しない事が話し合われた。

「言わねぇ方がいい。妖獣なんて未知の話だし、あいつが余計な事に巻き込まれるかもしれねぇだろ」

 年長組のヴァンが、最後にそう締めくくった。ラビはあの時、黒大狼を大事な友達だと言い、庇い、泣いていた。ノエルという友達が、ただ普通の人間の目に見えないだけだと、ラビを見て誰もがそう気付いて実感させられていたのだ。

 全員の意思で、自分達だけの秘密に留め置く事を決めて、彼らは解散した。

           ※※※

 朝一番、お互い目を覚ましたところで、ラビとノエルは悶絶した。

 一人と一匹は、騒動で受けた傷の痛みと、ひどい筋肉痛でしばらくベッドから降りられなかった。昨日までは何ともなかった身体が、一晩経って落ち着いた事で、急に痛み始めた事に文句を言い合った。
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