男装獣師と妖獣ノエル ~騎士団で紅一点!? 幼馴染の副団長が過保護です~
 伯爵家の長男であるルーファスは、現在、王宮騎士団の総団長を務めていた。忙しい役職の為、最後にホノワ村に顔を出せたのは四年も前の話である。母親である夫人が公務のため王都に出向く他は、手紙で母と子のやりとりをしていた。

 伯爵家の兄弟は、どちらも律儀な男である。戻って来るたび、母親だけでなく幼馴染のラビの元まで訪ねてきた。しかし、ラビはただの幼馴染であり、頻繁に母親孝行でホノワ村に顔を出すセドリックに関しては、ラビは、毎回顔を会わせる必要性を覚えていなかった。

 むしろ、ラビは人付き合いが苦手なのだ。

 ずっとノエルと二人きりだったから、誰かがいると、落ち着かない。先月もセドリックは「戻ってくるたび会えなくて、そうしている間に一年とか酷いですッ」と突撃訪問して来たのだが、ノエルとの食事中で大変迷惑した。

 ラビはしばし考え、よし、と肯いた。

「お邪魔っぽいし、一旦引き返して、後でもう一度訪ねるよ」
『お顔を見せると、喜ばれると思いますけれど』

 伯爵家の家族仲が良いのは誰の目にも明らかで、ラビは、そちらに気を利かせている風で告げたのだが、馬は気遣うように微笑んでそう助言した。
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