あの夏の日の午後のこと、私はきっと忘れないだろう
言われてみれば、確かにドレスの上の方の色は少しクリーム色っぽくて、腰のあたりから、ふんわり広がったスカート部分はそれよりも1トーン明るい色だった。
その色は全体的に柔らかな印象で、ふんわりと叔母を包んでいる。
いつもはキリッとした叔母の印象が全然違って見えるのは、確かにこのドレスのせいもあるのかもしれない。
「似合って見えるのは、そのせいかな」
茶目っ気たっぷりにくすくす笑うのは伯母らしいけれど、別人級の美人だ。
ドレスのせいだけじゃない、見たこともない位に幸せそうな笑顔。
「別に白でもクリーム色でも、わかりゃしないわ」
もどかしそうに母がそう言って、むき出しの伯母の肩を軽く叩いた。
「だって、こんなにキレイなんだもの……みんなにわかるのはそのことだけよ」