あの夏の日の午後のこと、私はきっと忘れないだろう
少し遅れて、祖母を乗せた車椅子を押して父がやってきて、結婚式は始まった。

白い花で飾られた、声を出すのもはばかられるくらいにキレイなチャペル。

太陽の光がさす大きな明かり取りの窓を背に立つ大きな十字架の前で待つ、白いタキシードのあの人。

その姿に見とれていると、ドアが開き、母に手を取られた伯母が入ってきた。

歓声が上がり、みんなの目が伯母に集中する中、そっと後ろを振り返ると、あの人は少し頬を赤らめ、うっとりしたような目を伯母に向けていた。

幸せそうなその顔に、私は幸せな気持ちになるはずなのに……なぜだか胸がモヤッとした。


一歩一歩、伯母が近づくごとに、あの人の瞳が輝きを増す。

その度に、私の中にあるモヤモヤがちょっとずつ大きくなる。

そしてそれが胸いっぱいに広がった時、壇上に着いた伯母が、あの人の横に立った。

< 23 / 72 >

この作品をシェア

pagetop