あの夏の日の午後のこと、私はきっと忘れないだろう

だって、顔に浮かべた表情こそ違うけれど、私にはその子の気持ちが痛いほどによくわかる。

痛くて、辛くて、息をするのを苦しいほどの、その気持ちが。

「レンアイとかすると、おかしくなる人いるんだって」
「え~、こわ!」
「なにそれ~?」
「やだ~、ハルカ、ケイケンシャ?」
「うそ、だれだれ?!」
「ちがうって~」

はしゃぐみんなに合わせて、笑って見せた私の顔は、きっと歪んでいたと思う。

子供ばかりだったおかげで、幸い、誰にも、何も言われなかったけれど。



私は、この時、知らぬ間に自分の胸に宿っていたモヤモヤの正体を知り。


この想いが、”ヤバい”ものだということを知った。


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