あの夏の日の午後のこと、私はきっと忘れないだろう

それに……私がもっと大人になれば。

誰かと付き合うようになれば、きっと自然と忘れる日が来るに違いない。


消えてくれない罪悪感を、そんな風にごまかして。


私は少し、伯母達と距離を取った。

「思春期なのよ」

母が、そんな風に言っていたのを耳にした。

「反抗期っていうか、親とか家族とかと一緒っていうのが恥ずかしい年ごろなのね、きっと」

それが全てではないけれど。

確かにそういう気持ちもあったから、私は大人達の誤解を利用してそっけなく振舞った。

あの人の顔をみると、恥ずかしくなって、ついついそんな態度をとってしまう……

それが本当の理由ではあったけど。

言えるはずもない、その本当の理由を打ち明けるよりは百倍マシだと思ったから、私はあの日まで、そんな態度をとり続けていた。


大切な人との別れが、あんなにも突然やって来るなんて、知りもしないで。

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