あの夏の日の午後のこと、私はきっと忘れないだろう

伯母達が結婚してから、3年くらいだっただろうか。

あまりに突然のことに、私達はいきなり崖に突き落とされたかのような思いだった。

特に母は、数年前に亡くした祖母に続き、最後の家族を失った、と、ひどく嘆き悲しんだ。

私や父とは違う、幼い頃を共に過ごした家族。

それはきっと、母にとって特別で大事な存在だったんだろうし、それは私にとっても、同じことだった。

例え、一緒に暮らしていなくても。

伯母は、私にとって特別で……とても大事な家族だった。

血のつながっていない父だって、きっと伯母を家族だと思っていたに違いない。

伯母を看取った病室で、泣きじゃくる私を抱きしめ、声を上げて泣く母の肩を抱きながら。

父は笑いじわのついた目尻から、いくつも涙の筋を走らせていたから。



突然の事故……

赤の他人の無責任な不注意で、我が家は一瞬のうちに重苦しい悲しみでいっぱいになってしまった。


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