あの夏の日の午後のこと、私はきっと忘れないだろう

答えにならないような、あいまいな言葉を返して、雄太さんは話題を変えるように立ち上がる。

「あ、そうだ!スイカがあったんだった」

部屋を出ていく雄太さんの背中を見送って、私はダイニングとまとめて一部屋になっているリビングを見渡した。


散らかっているわけではないのに、どこか雑然とした印象のリビング。

本当は、この家に入った時からずっと感じていた。

記憶にある家の様子とは、少し違う雰囲気。

片付いてはいるけれど、男の人の匂いがほのかに残る脱衣所。


何が違うのか?と言われて、コレ!とはっきりとは言えるものではないんだけれど。

私の記憶にあるこの家は、もっとあたたかい、明るい雰囲気の家だった。

伯母がいた頃には、どれだけ陽が差す明るい時間でも、この場所が中心に見えていたのに。
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