あの夏の日の午後のこと、私はきっと忘れないだろう
今は、にぎやかに咲く庭の花々の方が主役のよう。
夏の太陽が照らす世界を背に、この部屋は影のようにひっそりと、息をひそめているように見える。
まるで、伯母のお葬式の日に見た、雄太さんの後ろ姿のように。
今、見送った背中のように。
「一昨日もらってたの、忘れてたよ……冷やしてなかったけど、ちょっと味見してみようか…………え?……紗良ちゃん?」
気が付けば、私はキッチンに戻って来た雄太さんの背中に額をつけ、恋人のように寄り添っていた。
「…………好きです」