あの夏の日の午後のこと、私はきっと忘れないだろう

「でも……でも、私」
「……紗良ちゃん」

ゆっくりと体の向きを変え、雄太さんは私と向かい合うと、うつむく私の頭にポンと大きな手を置く。

よしよし、とでも言いたげな仕草に、ちょっとムッとした。

「……聞いてました?」
「うん、聞いてたよ」
「…………なら、子供扱いしないで。私は本気で」
「あはは。でも……子供だからなぁ」
「もう、大人です」
「まだ未成年だろう?」
「……法律が変わったから、もう未成年じゃない」
「ああ、そっか……うーん……でもな……」

笑われた気配に、私は涙の浮かんだ目を上げ、キッと雄太さんをにらんだ。

「年齢なんて、関係ないでしょう?」
「……関係、なくはないよ」
「どうして?……伯母さんだって、雄太さんよりずっと年上だったのに」
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