あの夏の日の午後のこと、私はきっと忘れないだろう
「ああ……」
余裕のある態度を保っていた雄太さんの顔が、目が、変わった。
優しい大人の顔から少しだけのぞいた、男の色。
「……そうか……そうだね……」
様子の変わった顔つきに、言っちゃいけないことを言ったことには気づいたけれど、私はもう止まれなかった。
もう一度だけ、勇気を振り絞って。
すぐ目の前の、今までにない近さのところにある雄太さんの胸にしがみつく。
「……私、似てるでしょ?」
「似てるって……誰に?」
「………………伯母さんに」
「!!」
「だから私、雄太さんのタイプってことでしょ?」
雄太さんは、母に似ていると言ったけれど、私の外見は母よりもむしろ、伯母に似ている。
女性としては少し高い身長、やせ型の体つき、ショートヘアに大きめの口。
意識したわけではないけれど、どこかにあった憧れが、私をそうさせていたのかもしれない。