あの夏の日の午後のこと、私はきっと忘れないだろう
永遠にも思えるような数秒の後。
「…………ふふっ」
かすかに笑うような声が、おでこのあたりに触れた。
……そして。
「……ふがっ!!」
いきなり、ぎゅっと鼻をつままれ、思い切り間抜けな悲鳴を上げちゃった私。
それをきいた雄太さんは、声を上げて笑いだした。
「あははは!」
「なにするんですかっ!!」
ロマンチックな期待に、閉じていたまぶたを上げて。
くわっと噛みつく勢いで、鼻をつまんでいた雄太さんの手を掴む。
「いやだって……ふがっ!て……」
確かに間抜けな声だったし、見てる側はそりゃあ面白かったでしょうけれども!
いたいけな乙女の一世一代の告白に対して、なんてことをしてくれるんだ!この人は!!
「ちょっともう!私は……っ!!」
抗議しようと上げた顔面を、広い胸に押し付けられて。
私の頭は真っ白になって。
言いかけた言葉の先を、見失った。