あの夏の日の午後のこと、私はきっと忘れないだろう

いやいや、なんでよ?と思ったけど、あまりにもせつなげだったから言えなかった。


……本当は、ちょっとくらい私に気があったのかな?

うーん…………いや、それはないか。



「あ、そうだ、紗良ちゃん」

持ってきた大き目のスプーンを渡してきながら、雄太さんが思い出したように言う。

「そろそろ、お母さんが来るよ」
「お母さん?」
「うん、さっき連絡したら、迎えに行きますって言ってたから」

近くのショッピングモールの名を上げ、そこにいたと言われれば、私もつられて時計を見る。


うん、……あそこからなら、もうそろそろ着く頃だろうね。

というか、それ、もっと早く言ってよ。

さっきの……あの告白の最中に来てたらどうするのよ?
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