あの夏の日の午後のこと、私はきっと忘れないだろう
・あの夏のこと
あれは、確か、私が中学に上がった年のことだった。
ミンミンとうるさくセミが鳴き、まだ暑かった夏の終わり。
伯母が、亡くなった。
突然の、交通事故だった。
赤信号で、横断歩道の手前で待っていたところに車が突っ込んできたらしい。
その場所に立っていたのは、伯母だけではなかった。
伯母の他にも何人かが一緒に病院に運ばれて……
けれど、伯母だけが死んでしまった。
打ち所が悪かったとか、前に立っていた人の下敷きになったとか、運が悪かったとか。
いろいろな人がいろいろなことを言っていたけれど。
伯母は、死んでしまって、もういない。
私達にとっては、それが突きつけられた現実で……それが、残された全てだった。
学校の授業が終わり、スマホに送られてきていた連絡を見た私が病院に着いた時。
手術室の前には既に母と……あの人がいた。