そして僕はまた、君に出会える時を待つ

おだやかで幸せな、甘い幸せの時間。

季節が変わる頃には、それがすっかり僕の日常となり、このまま続いて行くんだと能天気にも信じ込んでいた。

けれど、一緒にいる時間の間、彼女の顔に時折、すっと影が差す瞬間に気づくようになって。

だんだんと増えていく、その、ふとした瞬間が不安を生み始めた頃。

久しぶりに彼女から、夜のデートの誘いがあった。

出会ったあの街の、あのカフェバーの近く。

初めて出会った、マスターのカフェではない。

久しぶりだし、そこがいいんじゃないかと言ったけど、オススメの店があるから、という彼女の言葉に、僕は特に疑うことなく同意した。


そして、やって来た少しおしゃれな居酒屋の、半個室になったテーブル席。

僕は、向かい合った加奈子さんから発せられた言葉を、信じられない思いでオウム返ししていた。

「………………え?……終わり?」
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