そして僕はまた、君に出会える時を待つ
阿呆のようにぽかんと口をあけた僕を静かに見返し、頷く加奈子さん。
「……うん、そう」
「終わりって…………別れようってことですか?」
先週末は、1泊の温泉旅行に出かけて。
つい数日前も、一緒に朝を過ごしたばかり。
加奈子さんも、とても楽しかったと言ってくれていたのに。
いきなり、終わりにしましょうなんて、意味がわからない。
無言でこちらを見返す加奈子さんに、へらっと笑いかけて。
「冗談ですよね?」
半笑いのままの僕の問いかけに、彼女はすっと長いまつ毛を伏せた。
「……冗談じゃない」
「どうして……いきなりそんな……」
「いきなりじゃないわ……少なくとも私は、最初の時からずっと考えてた」
「最初から?」
自分の眉間に、グッとしわが寄ったのがわかる。
「最初って……あの、最初の夜のことですか?」
「……そう」
「ホテルに行った時の?」
「…………そうよ」