そして僕はまた、君に出会える時を待つ
僕はテーブルに乗り出すようにして両肘をつき、組んだ両手の上に顎を乗せて、彼女を見据えた。
「それで、僕は結婚相手として不足だと、判断されたということでしょうか?」
「…………え?」
動きを止めた加奈子さんが、ハンカチを手にしたままで驚いたように僕を見返す。
「いや……だから、私は結婚しなきゃで」
「……はい」
「あなたは、まだ若いでしょ?」
「まあ、そうですね」
「でも、私はもう38になるし」
「知ってます」
「……………………だから……」
困ったように眉を寄せる彼女の言葉尻を引き取って、僕は首をかしげて見せる。
「だから?」
確かに、僕は今まで結婚というものを考えたことはなかったけれど。
彼女との生活……
それは、考えるだけで心躍る毎日のように思える。
…………うん、悪くない。
「それが、僕と別れる理由っていうのなら、全くもって納得できませんね」