そして僕はまた、君に出会える時を待つ

通っていた、あのカフェバーのマスターは、多分……いや、間違いなく間違いなく僕の気持ちに気が付いていたけれど。

あの時も、何も言わずに、僕の背中を押してくれた。

ちょっとイラつくこともあったが、本当に感謝してもしきれない、救いの神のような人だ。


君に対する必死な様子を見られていたのは、顔から火が出そうなくらい恥ずかしいけれど。

今なら、素直にありがとう、と言えそうだ。

君に会えて、幸せな時間を過ごせた、今なら……多分。


今度、久しぶりにあのカフェバーに行ってみようか。

この家に引っ越してから、もう何年もあの店には行っていない。

あのマスターは僕らのことを覚えてはいないかもしれないけれど。

君と出会ったあの場所で、君との思い出をかみしめるのもいいかもしれない。

きっと、あの頃の気持ちを思い出す、いい時間になるだろう。


君も、そんな風に思ってくれるだろうか……
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