そして僕はまた、君に出会える時を待つ
耳たぶに、首に……くっきり浮き出た鎖骨にも。
「違う……ん……けど、違わない」
「なにそれ……わかんないよ」
甘い空気が漂いだしたのを察したのか、加奈子さんは僕から距離を取るようにガバっと体を起こした。
「……いい眺め」
彼女を見上げてくすっと笑うと、加奈子さんは真っ赤になって僕の上から下り、背中を向けて毛布にくるまってしまう。
「もう……ばか」
耳まで真っ赤な彼女を毛布ごと後ろから抱きしめ、僕は声を上げて笑う。
「本当のことなのに」
「そういうのは、言わなくていいの!」
「言わなくちゃ、わかんないでしょ?」
ちゅっと、耳たぶにキスを落としてから、真面目なお願い。
「だから言ってよ、加奈子さんも」
腕の中でゆっくりと体の向きを変えた加奈子さんが、不安げに僕を見上げる。
僕は肩肘をつき、彼女の頬にできるだけの優しさで触れながら微笑んだ。
「言ってくれなきゃ、わかんないよ……」